近視
近視人口が急速に増えている
近視は、近くは裸眼でも見えるけれど、遠くは眼鏡がないとよく見えない状態です。
日本人を含め東洋人に多いと言われてきましたが、近年は世界中で急速に増えていています。2016年に発表された報告によると、2000年に全人口の22.9%だった近視人口は2050年には全人口の52%に増加すると推定されています。
強度の近視になると眼鏡が必要になるだけでなく、白内障・緑内障・網膜剥離など他の眼疾患の発症頻度も高くなることも知られています。
遺伝よりも環境の変化が大きい
近視は遺伝と環境により起こりますが、同じアジアでもより地方州では近視が少なく、また今まで近視が少ないと言われてきた欧米諸国でも近視は増加しています。そのためこの50年で急速に人類の遺伝子変化がおきたとは考えにくく、環境の変化が近視増加の主因と考えられています。
環境の変化とはすなわち、スマホ・ゲーム・学業による近見作業の増加、屋外活動時間の減少です。とくにどのような環境下で小児期を過ごしたかで近視の有病率が大きく異なると言われています。
”もっと目を離しなさい” とか、”もっと明るいところで読みなさい” とか
私自身(48才です)幼少時から両親(普通の会社員です)に言われてきました。”もっと目を離して読みなさい”とか、”もっと明るいところで読みなさい”とか、どのご家庭でもかなり以前から語り継がれてきたと思います。私を含めてなかなかお子さんは聞く耳をもちませんが、動物実験では光を遮断したり、強制的に近見させるすることで近視を誘導することができます。近見作業は近視を進行させ、屋外活動は近視を抑制させます。
なるべく意識して遠くをみる時間をつくり、なるべく屋外活動を増やすようにしましょう。黒板が見にくいなど不便が生じるようなら眼鏡をつりましょう。学業に支障がでてくるのは好ましくありません。近視の眼鏡は、例えば授業中だけなど必要時のみ眼鏡をかけることから始めてもかまいません。小学校高学年にもなると眼鏡をかけたくないあまり、”黒板は見えます!” というお子さんもおられますので、そこは要注意です。
近視をこれ以上進行させたくないかたに
近見作業は近視を進行させ、屋外活動は近視を抑制させる。ということはわかっています。もちろん不必要にだらだらスマホやゲームをするのはやめるべきです。しかしこの現代社会に生きるなかで、近見作業をなくしたり、屋外活動を増やすことはなかなか簡単ではありません。さらには何時間なら近見作業が許されるのか、屋外活動を何時間すればよいのか、となるとまだ結論がでていません。結局、目を離しましょう・屋外活動を増やしましょう、といった漠然としたアドバイスになってしまいがちです。それではなんだか釈然としない感覚が残るかたも多いと思います。
現時点で最も根拠のある方法
世の中には近視を改善させることをうたった商品は数多ありますが、眼科医からみると、どれも根拠に乏しいものが多いのが現実です。しかし近視の研究は日々進んでいます。そのなかで無理なく使用できる方法としては低濃度アトロピン0.01%点眼薬になります。
低濃度アトロピン0.01%
近視の多くはお子様の成長期とともに進行します。1%アトロピンが近視抑制効果をもつことはわかっていましたが、眩しさ・近くが見にくくなるといった副作用がつよく、とても実用的なものではありませんでした。シンガポール国立眼科センターの研究に基づいて開発されたマイオピン(=0.01%アトロピン)は、近視の進行を60%抑制し、不快な副作用を大幅に軽減しています。近視抑制効果を示した研究は2年間の観察期間に基づいて報告されており、有効な効果を得るためには2年以上の継続をお勧めいたします。
マイオピンの特徴
GMP(医薬品製造管理および品質管理基準)準拠の工場で製造されています
1日1回寝る前に点眼するだけで簡便
成長期のお子様で平均60%の近視抑制効果が得られます
重篤な副作用は報告されておらず安全性が高い
※マイオピンは自費診療になります。