白内障
白内障とは
白内障は主として加齢による目の水晶体の濁りですので、年齢を重ねると誰でも白内障がでてきます。白内障がすすむと視力低下や眩しさの原因となります。薬による白内障の改善は困難ですが、近年の白内障手術技術の向上はめざましく、現代医学の恩恵に大いにあずかれる治療法といえるでしょう。
WHOによると世界の失明原因の第1位は白内障で現在でも40%を占めています(日本は4%)。これは残念ですが経済格差によって白内障手術を受けられるか受けられないかによる違いです。
白内障手術の道のり
白内障手術の歴史はなんと紀元前のインドにまでさかのぼり、かの音楽家バッハも白内障手術を受けています。現代の白内障手術は第二次世界大戦中に戦闘機のアクリル透明板が割れて目に入っても異物反応を示さなかったことから急速に発展していきます。眼内レンズが開発されたのです。
白内障手術の発展と平均余命の改善
現在は白内障手術機器の進歩もめざましく、その技術レベルはおおむね完成されたともいえるほどです。現在の日本では年間約100万件もの白内障手術が行われるほど普及し、安全性と手術効果はかなり高いといえます。現代の日本は平均余命(あと何年生きるか)ものびており、今70歳の男性はあと15年、女性はあと20年、生きる時代になっています。
大雑把にいうと白内障は進行するほど、つまり年齢を重ねるほど手術難易度が高く、手術合併症の確率が高まります。残された人生はまだまだ長いですので、この現代医学の恩恵にあずかる意味は大きいのではないでしょうか。
当院の白内障手術
白内障手術は手術機器に依存するところも大きく、当院では多くの大学病院で採用されているアルコン社製センチュリオン®、カールツアイス社製Lumera i®を導入し、手術は日帰りで行っております。開院5年目で、約800例の手術実績があります。
手術の流れ
術前検査
通常の検査で、白内障の程度、白内障以外にも異常がないか検査します。白内障手術することになりましたら、眼軸長(目の長さ)、角膜内皮細胞数、感染症の有無を調べる採血をします。また、調べた眼軸長から眼内レンズの度数を決定します。度数は患者さまと相談のうえ決定いたします。
術前点眼
感染を予防するため、手術3日前から手術日まで抗菌点眼薬を使用します。
手術当日
当日の服装は通常どおりでかまいません。お化粧や日焼け止めは使用せずに来院してください。
手術室に入る前に、瞳孔を開く点眼薬を使用します。
手術室に入り、リクライニングシートに着席します。そのまま背もたれが下がり、水平になります。
目の周りを消毒して清潔なドレープをかぶせ、手術開始となります。
顔を動かさず、正面の光を見るようにしてください。
手術中に痛みはほとんどありません。無感覚にはならないので押されたり引っ張られたりする感覚があります。
1日に1つの目しか手術することができません。手術しない目は通常どおりまばたきしてください。手術する目はまばたきできないよう器具で保持しています。
痒み、痛み、咳をしたい感覚などありましたら、手術中でも声をおかけください。声をおかけいただければ多少動いてもかまいません。
手術にかかる時間は、医療広告規制に抵触する可能性があり、ここではお伝えできません。どこの施設でも時間はおおむね変わらないと思います。
手術がおわりましたら眼帯をつけてご帰宅です。手術していない目が不自由な場合には、透明眼帯にするなど配慮いたします。
翌日以降
眼帯を外します。問題なければ、眼帯は一晩だけです。
手術翌日、約3日後、7日後、14日後、1か月後に術後診察があります。
術後1~2週間は保護メガネをつけていただくことをお勧めしています。
洗髪洗眼は術後6日目からにしてください。首から下であれば、手術後当日でも入浴してかまいません。目にゴミや汗、水が入らなければ、基本的に何をしてもかまいません。