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抗VEGF薬の硝子体注射

抗VEGF薬の硝子体注射(新生血管がキーワード)

抗VEGF薬は主に、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症に適応になります。当院でもアイリーア®などの薬剤を使用して硝子体注射を行っています。クリーン環境下で注射したいので、手術室で眼球内に直接薬剤を注射します。おそろしく感じてしまうでしょうが、注射量は0.05ml(水滴一滴と概ね同量)と少なく、注入は一瞬で終了します。注射前に眼周囲の消毒をしますので、手術室内には10分ほどの滞在が必要です。

どうして網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症と、病気が違うのに薬や治療が同じなのでしょうか?そんな疑問を持たれるかもしれません。それには新生血管がキーワードとなります。この3つの病気には、すべて新生血管がからんでいます。この新生血管を消退させるのが抗VEGF薬の硝子体注射です。

・新生血管とは
新生血管は主に虚血にともなってでてくる血管です。虚血を改善させるべく人体が適応した結果なのですが、これか曲者です。

網膜静脈閉塞症・糖尿病網膜症では網膜が虚血となり新生血管が生じます。虚血の改善はよいとしても、この新生血管は、もろく出血しやすいという特性があります。この出血は網膜ではなく硝子体に出血するのですが、硝子体出血すると出血したとたん視力が低下します。一瞬で視力1.0だったのが0.3に低下することもよくあります。

硝子体出血は少量であれば1ヶ月で自然改善することもありますが、それ以上つづくこともあり、その場合は手術が必要になります。

また新生血管は出血だけでなく、網膜剥離をひきおこす事もあります。このタイプの網膜剥離は手術が必要になることもさることながら、難治性の網膜剥離になることが多いのが厄介です。とくに糖尿病網膜症で失明するケースはこのタイプの網膜剥離がからんでくる場合が多いのです。

このように眼科的にとても厄介な新生血管は、なんとしても消退させなければならない血管です。虚血の改善のため人体が反応した結果生えてくるのですが、硝子体出血や難治性の網膜剥離につながりますし、そもそも虚血の改善といっても焼石に水程度の虚血改善効果しかありません。

※加齢黄斑変性にでてくる新生血管は虚血のためではありません。なぜ新生血管がでてくるのか、まだ解明されていませんが、新生血管は新生血管ですので、治療は同じ抗VEGF薬の硝子体注射になります。

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